====== 仕事で書くということ ====== 趣味で書くのであれば、頭に浮かんだことをつらつら書いていけば良い(極論)。しかし仕事で文章を書くとなると、客あるいは上司の期待を満たす必要が生まれる。その期待は、主に2つある。 * 必要事項が盛り込まれている。 * 品質が十分にある。 書くプロセスを3つに分けることで、これらを満たしていく。 - 材料を用意する - テキストを書く - 仕上がりを調整する 料理で言えば、食材をカットして、鍋で調理して、盛り付ける――という一連の流れとまったく一緒だ。 === 材料を用意する === まず最初に何を書くのか考える。それはテーマやコンセプトと呼ばれる類のものだ。その主題をどういう形やジャンルに落とし込むのかを考える。エッセイなのか、論文なのか、ニュースなのか、マニュアルなのか。この時、Webに載せるのか、紙に印刷するのか、スライドにするのかなど、最終形態もイメージしておく。ついでに仮のタイトルを決めて、方向性を固める。 次に、文章に盛り込む材料をリストアップする。例えば、トピック、データ(数値あるいは表、グラフ)、核になる論述、記述の端書などだ。必要な材料はジャンルによって変化する。主題とジャンル/形態(メディア)が決まっていれば、構成は自ずと決まってくる。そうしたら構成に合わせて必要な材料を集める。この時、思いついたものいくつも箇条書きにして、その中から要不要を選り分けて盛り込んだほうがよい。 集めた材料はメモ帳(紙ではなくWindowsのアプリの方)で、構成に沿って配置する。そして見出しを付ける。構成の流れを検分し、論述に破綻がないか確認する。頭の中では文章の流れがなとなくイメージできているが、それが気の所為なこともあり、破綻してしまっていることもある。日をまたいで冷静な頭でチェックするのもいいだろう(くらいしか言えない)。 また、構成ができた段階で盛り込む要素に過不足がないか、先方に確認してもらったほうが良い。あとから変更を要求されると基礎工事からやり直しになり大変だからだ。責任を分割する意味合いもある。前もって、ここまでは盛り込むというラインを聞いて置くのもよい。 === テキストを書く === 構成に沿って、言葉を書き連ね文章にしていく。構成を考えたときに文章をイメージできているはず。それを言語化していこう。 上手く論述が進まないときは、構成に遡って考えてみる。修正が必要になったら、上司や客の了承の範囲内で修正しよう。そうして構成と本文をサイドステップすることになると地獄なので、最初に堅実な構成を作る必要があるわけ。 === 仕上がりを調整する === 料理で言う盛り付けのフェーズだが、文章作成においては「編集者」という職業の本分である。編集は、テキストを最終成果物に向けてハンドリングしていく仕事である。 ※ さらに細部を見る「校正」という職業もあるが、昨今はよっぽど上級の制作案件でないと出てこない。 盛り付けの前に、文章を一読し、できれば音読し、問題点があれば修正する。構成に沿っているか、論述が破綻していないか、要件を満たしているかなどを確認する。 問題がなければ盛り付ける。すなわち、各種ソフト上にテキストを流し込んで整形するわけだ。流し込み忘れた部分がないか確認し、やっぱりもう一読した方がいい。文章の形態が変わると、そのスペースによってお適切な表現というものも変わってくるものだからだ。 === まとめ === 材料を揃え、テキストを書き、盛り付ける。一連の流れを見てきた。 その中で構成というものが自ずと決まってくるという話をした。それは書き続けているうちに見えてくるのだが、単純に言うと1パターンしかないので後ほど説明する。